知る人ぞ知る秘密の大阪を案内する「1DAYローカルツアー」。今回は南大阪にある富田林寺内町をご紹介! 中世から続く歴史ある町並みに溶け込む個性あふれるお店や建物を、富田林寺内町の住人・カメイミチヨさんが案内します。
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大阪:歴史ある寺内町を着物で散策 伝統文化と美のフォトジェニックツアー
- 本格的な着物に着替えて、460年前の趣深い街並みが残る寺内町を散策。
- 地元住人のガイド付きツアー。古き良き日本を巡るタイムトリップ。
- 最古級の町屋「旧杉山家住宅」を見学。当時の商家の暮らしの風景や生活道具を学ぶ
大阪府の東南部に位置する、自然と歴史に恵まれたまち・富田林市。甲子園球場5個分の広大な敷地で四季折々の自然が楽しめる「富田林市農業公園サバーファーム」や日本三不動のひとつとして有名な「瀧谷不動明王寺」があり、国内最大規模の花火大会「PL花火芸術」が開催されてきた場所としても知られています。PL教団が建てた約180mの巨大な白い塔「超宗派万国戦争犠牲者慰霊大平和祈念塔」(通称・PLの塔)も市を代表するランドマークのひとつとなっています。
大阪阿部野橋駅から近鉄南大阪線・長野線の電車に揺られること約30分、富田林駅のロータリーを抜けて信号を渡ると現れる、「じないまち本町通り」と書かれたゲートと観光交流施設「きらめきファクトリー」。ここから先に、江戸時代の風情を残す町並みと個性的なお店が軒を連ねるエリア「寺内町(じないまち)」があります。
寺内町とは浄土真宗の寺院を中心に堀や土塁で防御した宗教自治都市のことで、富田林市にある寺内町は約450年前に興正寺別院とともに発展しました。東西に約470m、南北に約400mにわたるこの一帯は、江戸時代のお寺や商家が連なる寺内町として、大阪府唯一の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
寺内町はMAPを片手に回るのがおすすめ。こちらの「じないまち散策絵図(発行:富田林市教育委員会)」は観光交流施設きらめきファクトリーなどで配布されています。
そんな町並みに惚れ込んで約10年前から寺内町にアトリエを構える彫貼紙作家のカメイミチヨさんに、寺内町のおすすめのお店や、知っていると町歩きがさらに楽しくなる豆知識を教えてもらいました。
Guide
愛媛県出身。一枚の和紙に日本の伝統的文様を彫り抜く彫貼紙作家。2015年に富田林寺内町にアトリエをオープン。日本各地のみならずスペイン、フランス、ドバイなど国外の美術展にも精力的に出展し、注目を浴びている。アンティーク好きで、展示会や普段の外出時は着物で過ごす。
みりん蔵を改修! 彫貼紙アトリエ「今昔の玉手箱」、珈琲豆販売店「平蔵」
寺内町のメインストリート・城之門筋を歩いていると東側に見えてくるのが、江戸時代の終わりに建てられたみりん蔵・紅梅蔵(佐藤家住宅)。その一角はお店になっており、カメイさんのアトリエ「今昔の玉手箱」と自家焙煎の珈琲豆が買えるお店「平蔵」が営業しています。
アトリエ兼店舗の「今昔の玉手箱」には、壁一面にカメイさんの作品がずらり! 大小さまざまなサイズの彫貼紙(切り紙)が飾られており、その繊細さに見惚れていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。海外の美術展への出展が多いこともあり、そのデザインは昔ながらの伝統文様など、和を感じさせるものが目立ちます。
進学を機に出身地である愛媛から大阪にやってきたというカメイさん。富田林寺内町のことは20年程前に知り、休みの日にちょくちょく遊びにくるようになったそう。あるとき知り合いから「寺内町で1か月間、アトリエを持ってみませんか?」と声をかけられ、承諾。その後、本格的に創作活動をはじめて、寺内町歴はもうすぐ10年に。2022年には住居も寺内町へと移しました。
アトリエには家庭で気軽に飾れる小さなものから大規模なものまで、数多くの作品が並んでいます。「繊細で美しい日本の伝統文化を世界に発信したい」と、精力的に海外の美術展にも出展しているカメイさん。寺内町にも作品が飾られている場所があるので、他のお店を訪れる際に探すのも散策の楽しみのひとつ。
作品は平面だけではなく、照明などの立体的なものも作っています。彫貼紙(切り紙)の体験レッスン(要予約)もやっているので、気になる方は公式サイトから気軽にお問い合わせください!
「今昔の玉手箱」のお隣には、香ばしい匂いが漂う珈琲豆販売店「平蔵」が。世界各国の農園から取り揃えた選りすぐりの珈琲豆が約15種類並びます。注文ごとに目の前で焙煎してくれるので、煎り立ての珈琲豆を持ち帰れるのがうれしい! 店内にある大きな曲がった梁はとても珍しいそうで、改修時に手を付けず大事に残されたのだとか。130年前のみりん蔵をそのまま感じられる空間も見どころです。
アトリエで作業をしていると、隣から珈琲豆のおいしそうな香りが漂ってくるんです~。焙煎機の音もよい作業BGMになっています。私のおすすめはコクがしっかり感じられる「平蔵ブレンド」です!
江戸時代の町並みを楽しみながら、寺内町の中心・興正寺別院へ
富田林寺内町には、飲食店を中心に約50店舗ものお店が軒を連ねています。目的のお店にたどり着くまでに目にする風情ある町並みも、魅力のひとつ。「日本の道100選」に選ばれたメインストリートの城之門筋には電柱も電線もなく、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような気分が味わえます。スマホをそっとカバンにしまい、当時の町人になりきって歩いてみるのも楽しいかもしれません。
昔から歴史や古いデザインが好きだというカメイさんは、寺内町の知識もとっても豊富。町を案内しながら、ふと立ち止まっては町の歴史や建築物について詳しく教えてくださいました。
寺内町の中からもPLの塔を見ることができます。江戸時代の町並みと白い巨塔がひとつに収まる景色は、富田林市ならでは。右側に見えているのは、寺内町の西側に位置し、700年以上もの歴史を持つといわれている浄谷寺です。
富田林寺内町のほぼ中心にあるのが、重要文化財の興正寺別院です。現在の本堂は寛永15年(1638年)に再建されたもので、大阪府内で最古の浄土真宗本堂として残っています。
毎年、大みそかに除夜の鐘をつきに行っています。大みそかにだけ、鐘楼に登ることができるんですよ! 興正寺別院を中心に寺内町の一部は2021年に公開された映画『燃えよ剣』のロケ地になりました。
職人こだわりのええもんを取り揃える雑貨屋「23番地.」
富田林寺内町には自然派のパン屋や雑貨店もたくさんあります。そのひとつが町の南東部にある雑貨屋「手仕事と雑貨 23番地.」です。「日常に彩をそえる、ちょっといいもの」をコンセプトに集められた商品は、どれも手仕事による人のぬくもりが感じられるものばかり。店主の藤原さんが自ら足を運んで仕入れた、さまざまな作家の“ええもん”が並びます。
23番地.には、よくお菓子を買いにきています。どれも体に優しくておいしい! 店内には食品売上ランキングがあるので、買うものに迷ったら参考にしています。ここで買ったボディタオルと靴下も愛用中♪
広い店内でゆっくりランチ お食事処「さくら食堂」
たくさん歩いてお腹も空いてきた頃合い。「手仕事と雑貨 23番地.」の少し西側にある「さくら食堂」でランチをいただきましょう。
呉服屋の離れをリノベーションして営業されている「さくら食堂」。店主の松原さんが「もともとの建物に少しお化粧をしただけ」という空間では、ほっと心がゆるまるような落ち着いた時間が流れています。さくら色の椅子も、とっても可愛い!
人気の「牛玉のお重箱」をはじめ、メニューにはすべてこだわりの佐賀牛が使われています。おいしそうな醤油とお出汁の香りが食欲をそそります。
お肉の柔らかさとほんのり甘い卵のかけあいにカメイさんも大満足! 「さくら食堂」では寺内町で唯一のモーニングも営業しているので、ここから散策をスタートするのもおすすめです。※モーニングは日曜日のみの営業です。
お着物が素敵な店主さんが作る温かな料理と空間にいつも癒やされています。店内には私の作品「三味線行燈」が飾られているんですよ!お料理を待つ間に、ぜひご覧ください。
さらに歩を進めて……。「旧田中家住宅」で明治に思いをはせる
お腹が満たされたら、再び寺内町を散策。この日は雨上がり。「真っ青な晴天の下を歩くのも気持ちがいいけれど、雨に濡れて木目の色合いがより濃く際立った日本家屋の町並みも趣があって好き」と教えてくれたカメイさん。天気や四季で変わる町並みも寺内町の魅力のひとつです。
富田林寺内町には、見学できる旧家もあります。こちらはNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の撮影にも使われた旧杉山家住宅。
もうひとつの見学可能な旧家が、こちらの旧田中家住宅です。明治25年(1892年)に建てられた古民家を改修して一般向けに公開されています。風情のある意匠に惹かれ、結婚式の前撮り撮影で訪れる人もいるそうです。
茶の間や階段箪笥など昔の暮らしの様子がそのまま残っていて、まるで明治にタイムスリップしたかのような気分が味わえます。富田林駅から近く無料で見学できるので、ぜひ立ち寄ってくださいね。
実家で過ごすような安心感が味わえる女性限定ゲストハウス「泊や」
たくさん歩いた足を休めるべく、本日のお宿にチェックイン。夕食の前に、少しゆっくりとくつろぎましょう。
富田林寺内町で唯一のお宿となる「ご婦人乃宿 泊や」は、築100年を超える古民家で営む女性限定(18歳以上)のゲストハウス。100年前の日本家屋の雰囲気を感じられるよう、建物はできる限り手を入れずに利用されています。「旅人さんの一時的な実家」をコンセプトに、くつろぎの空間を提供されています。
女性限定で1日5人まで利用でき、女性の「おひとり旅」デビューのお宿にもってこい。宿主の泊野さんは海外経験があって一般的な英会話が可能なので、海外からの旅人さんともコミュニケーションはバッチリ。また滞在中は、お食事(別途料金要)のご用意も可能。メインのお好み焼きをはじめ、できる限り地元(南河内)の食材を使った家庭料理が味わえます。
同じ時期に寺内町にお店を構えた仲間として、店主の泊野さんとはとっても仲良し♪ この日も夜に飲みにいく約束をしていたんです(笑)。泊やさんの居心地のよさに、いつもつい長居してしまいます。
旅の締めくくりに、みんなで乾杯! ビアホール「バンリノハル」
1日歩いて寺内町を満喫したら、旅の締めくくりに「バンリノハルビアホール」へ。寺内町から生まれた富田林クラフトビールで乾杯しませんか?
もともと酒蔵だった建物を利用した店内は天井が高く、日本家屋なのに海外のビアホールを思わせるような開放感にあふれています。
富田林クラフトビールは最大10種類がメニューに並び、「どれを飲むか迷ったら、店員に気軽に声をかけて」と代表取締役の石田さん。お客さんの好みに合わせて説明・セレクトをしてくれるので、クラフトビールを飲み慣れていない人でも安心です。料理も南河内の食材をふんだんに使っており、特に千早赤阪村のマスを使ったメニューは、ぜひ食べておきたい一品です。
この日いただいたのは、千早赤阪村で栽培されたホップで作った「麓ペールエール」。カメイさんは、「とてもフルーティーで飲みやすい!」と、勢いよくぐびぐびと飲んでいました(笑)。
ビアホールには醸造所も併設。醸造責任者の南さんによると「みなさん見学していかれます。なかなかトイレから帰ってこないと思ったら、ガラスにへばりつくように見ていたということもしょっちゅう(笑)」とのこと。お店を訪れた際には、醸造所見学もセットで楽しむのがおすすめです。
オープン当初から足繁く通っているお店。クラフトビールは全種類制覇したと思ったら、いつの間にかまた新しいのが作られていて……「これは飲みにいくっきゃない!」を繰り返しています(笑)。
歴史、建築好き必見! 変わった屋根瓦や建物も見逃さないで
富田林寺内町、まだまだ見どころはたくさん! 個性的なお店以外にも、町中のちょっとした建造物に目を向けてみて。重要伝統的建造物群保存地区ならではの、ここでしか見れない貴重なものがあるかも!?
古きよき古民家や商家が残る富田林寺内町。数百年前の風景が日常と交わる町並みには風雅な時間が流れ、京都や奈良とは一味違った魅力を内包しています。大阪に残る情緒豊かな景色を堪能するために、ぜひ足を運んでみてください。
※本記事は「しっとんか大阪」から移行したものです。掲載内容は2024年3月時点の情報であり、現在とは異なる場合があります。最新の営業状況や詳細は、各店舗・施設の公式サイトなどでご確認ください。
Photo:古賀亮平(Ryohei Koga)
Edit:伊東孝晃(Takaaki Ito)
Direction:人間編集舎
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