知る人ぞ知るローカルな大阪の街の魅力を紹介する「1DAYローカルツアー」。今回は全国的にも「だんじりの町」として知られる岸和田市を巡ります。市の象徴である岸和田城を中心に、歴史と文化が調和した岸和田の魅力的な町並みを、香港出身のトンさんと妻の富士子さんに散策してもらいました。
なんば駅から急行電車でおよそ30分。大阪市と和歌山市のほぼ中間に位置する岸和田市は、かつて岸和田城の城下町として繁栄していました。そのため、歴史的な街道や神社など、当時の面影が色濃く残るロマンを感じる町並みが広がっています。関西国際空港にも近いことから、“世界に一番近い城下町”ともいわれています。
また、300年以上続く伝統ある「だんじり祭」は全国的にも有名で、毎年9月と10月の2回に渡って行われ、9月には浜手側が、10月には山手側のだんじり祭が開催されています。
重さが4トンもある巨大なだんじりが町を疾走する光景を一目見ようと、例年全国から30万人を超える観光客が岸和田に訪れています。
そんな岸和田を今回訪れたのは、香港出身のトンさんと、妻の富士子さん。結婚して1年の新婚で、ふたり揃って岸和田に訪れるのは初めて!
観光ガイドとしてはたらくトンさんも興味津々の岸和田散策を通して、町の魅力をご紹介します。
Guide
地元客で賑わう岸和田駅前通商店街から出発!
岸和田駅を出てすぐ目の前に現れるのは「岸和田駅前通商店街」。戦前から続くこの商店街は、岸和田市の中でも特に長い歴史を持っています。駅前の広場は「だんじり祭」の観覧スポットのひとつとして知られており、商店街入口の右の壁には、定刻になると祭囃子とともに中からだんじりが登場するカラクリ時計が設置されています。
アーチの美しいアーケードができたのは昭和38年ごろ。よく見ると天井までは相当な高さが。だんじりが勇壮に駆け抜けるために屋根を高く設計してあり、アーケードが作られた当時は日本一の高さを誇っていたそう。
商店街には地元客で賑わう飲食店、アパレルショップ、日用品、レコードショップまで魅力的なお店が盛りだくさん。下町風情があり、活気溢れる商店街をキョロキョロと見ながら歩くふたり。この日は、アーケードの天井から明るい日の光が差し込み、気持ちのいい風が吹き抜けていました。
広々していてとても歩きやすい商店街ですね。ココをだんじりが駆け抜けるってすごい迫力だろうなあ! 一度見てみたいです。
アーケードを抜けて本通り商店街へ。「レトロな雰囲気がたくさん残っていて面白い!」と、トンさん。
駅からまっすぐ歩くこと10分。到着したのは、安政2(1855)年に和菓子屋として創業された地元に愛されるパン屋さん・永月堂。
ピカピカに磨かれたショーケースには店内の工房で作る焼きたてのパンが並びます。「どれも美味しそう!」と仲良く声を上げるふたり。
たくさんのパンに目移りしながらも、手に取ったのは永月堂の看板メニュー「コーヒーランド」。イースト、小麦粉、水、塩だけを使って焼き上げた素朴なフランスパンに自家製のコーヒークリームを挟んだ、岸和田の名物として30年以上も親しまれている人気商品なんです。
ほんのりと甘く優しいコーヒークリームの味。フランスパンの塩味がクリームの甘さと重なって、とても美味しい。5本入りなので、ふたりで分けても丁度いい!
大阪と和歌山を結ぶ、歴史ロマンを感じる紀州街道へ
「コーヒーランド」で小腹も満たされたふたり。江戸時代に参勤交代のための道路として整備された大阪と和歌山を結ぶ紀州街道を歩きながら、岸和田城を目指します。
街道を歩く途中には立派な石柱が。現在は埋め立てられた古城川に掛かる「欄干橋」の親柱であり、江戸時代の紀行文にも登場する石橋です。地域の人々の誇りや愛着を感じさせ、岸和田市の市章のモデルになったとも言われています。
「だんじり祭」の一番の見どころは、スピードを落とさずに道路の角を直角に曲がる、豪快な「やりまわし」。ビューポイントとして有名なS字カーブの通りを歩くと、「この曲がった道をあの大きなだんじりが駆け抜けるのか……!」と、富士子さんも驚きのようす。
立派な本瓦の屋根や通りに突き出した出格子など、江戸から明治にかけての町家建築が残されている紀州街道を、当時の暮らしに思いを馳せながら歩いてみると、まるでタイムスリップしたかのような気分になれるかもしれません。
まだ日本にはあまり詳しくないけど、昔は侍がこの道を通ったと思うと感動したし、なにより町並みが歴史的で風情がありますね。案内の看板はいろんな言語に対応してたから、香港人のワタシでも楽しめました。
町のシンボル・岸和田城で歴史と大パノラマを味わう
紀州街道から町のシンボルである岸和田城に到着。天守は文政10(1827)年に落雷で焼失。現在の天守は昭和29(1954年)年に再建され、今年で70周年になります。
立派な庭園は、枯山水庭園の代表的作庭家である重森三玲(しげもりみれい)が手がけたもの。その芸術性と、近代日本庭園史における学術上の価値から、国が指定する名勝に指定されているんです。
庭園のほかにも見どころはたくさん。岸和田藩主であった岡部氏に関連する資料や、市内各地で発掘した歴史的な資料を展示しています。
また、岸和田に古くから伝わる「蛸地蔵伝説」の上映も。岸和田城の歴史や、城と城下町の変革を知ることができる多言語対応の音声ガイドもあるので、海外旅行客でも安心です。
(関連記事:たこを食べてはいけない…?大阪とは思えない謎の風習がある「蛸地蔵駅」に初下車してみた(岸和田市)【ルポ漫画】)
天守からは岸和田市内の町並みはもちろん、大阪湾を眼前に神戸の山々を見渡すことができる360度の大パノラマが広がります。圧巻の景色で、気分はまるでお殿様?
当時の城主はこんな場所で暮らしてたのか……! と思うほど、天守からの景色に感激しました。展示してある資料や解説はどれも興味深いものばかりなので、歴史にそこまで詳しくなくても楽しめますよ。
リアルな甲冑を着て城内を散策。甲冑体験でメモリアルな記念写真を
岸和田城の敷地にある観光交流センターには、休憩できるカフェスペースが。そこに展示してある甲冑は実際に身につけることもできるということで、ふたりもさっそく体験してみることに。
甲冑は映画の撮影でも使われるリアルなものを特注で用意しているそう。鎧兜を身に纏い、そのまま敷地内を散策すれば、まるで戦国武将になった気分に。壮大な城を背景にした記念写真は、かけがえのない思い出になりますね。
15キロもある甲冑を着ながら戦っていたなんて、日本の侍は本当に力持ち! 岸和田城の甲冑はリアルなレプリカだから、そこまで重たくないので安心ですよ。写真もいい思い出になりました!
町歩きの締めくくりは、能舞台を見ながら食事を楽しめる「公諷庵」で
ランチに訪れたのは、能舞台を目の前に食事が楽しめる「公諷庵(こうふうあん)」。大阪最古の能楽堂であり、登録有形文化財である「杉江能楽堂」を活用した食事処です。
店内に足を踏み入れると、京都西本願寺の国宝能舞台の形を踏まえた能舞台をぐるりと囲むようにテーブルが置かれており、前庭の白州や地植えの松など、開放感と日本の古き良き侘び寂びをたっぷりと感じることができます。
能舞台に加えて、窓から見える景色や庭園、能面など日本美術が飾られており、お店の雰囲気は抜群。デザートやカフェメニューも充実しているので喫茶利用も可能です。今日の町歩きを振り返りながら、ふたりでゆっくりと食事を楽しめば、自然と笑顔が溢れます。
あまり見る機会のない能舞台を間近で眺めながら食事が楽しめて、とっても素敵な体験でした。料理もすごく美味しくて大満足。次はデザートも食べてみたい!
ロマン溢れる城下町を満喫しよう!
歴史ある紀州街道を散策し、岸和田城では思い出に残る甲冑体験を行い、能舞台を眺めながら食事を楽しんだ今回のツアー。大阪の中心地とは違った、古き良き町の文化を感じながら個性的なスポットを巡りました。
もちろん、今回ご紹介したスポットのほかにも魅力的な場所は盛りだくさん。
ロマン溢れる岸和田の町に、ぜひ一度訪れてみてくださいね。
関連ツアー
【DeepExperience】岸和田城時代体験ツアー
- だんじり会館で岸和田の祭り文化に触れる、迫力のだんじりと体験
- 日本の美意識が感じられる伝統的な空間で味わう優雅な和食ランチ
- 普段着られない甲冑や着物で、岸和田城とその周辺を散策しタイムスリップ体験
- 歴史ある城下町の風情を楽しみながら、特別な装いで思い出に残る写真撮影
- 岸和田の魅力を知り尽くしたガイドの案内により、日本文化を満喫する一日
※本記事は「しっとんか大阪」から移行したものです。掲載内容は2024年11月時点の情報であり、現在とは異なる場合があります。最新の営業状況や詳細は、各店舗・施設の公式サイトなどでご確認ください。
Photo:平野明
Edit:高津祐次
Direction:人間編集部